『TOP GUN: MAVERICK』について語る:ニワカが調べた小ネタ集その1(ミリタリー編その1)
『TOP GUN: MAVERICK』、IMAX字幕と吹替の合計で10回12回観ました。鑑賞の合間に調べた小ネタ集をせっかくなので披露したいと思います。
記事の都合上、盛大なネタバレだらけになりますので、ネタバレ食らわずに鑑賞したい方はここで読むのをやめてください!!!
せっかくなのでアンセムを流しながら読んでいただくのも一興かと。
それでは、小ネタ集です。
※筆者の勘違い等があればご指摘いただけるとありがたいです!その際は参照できるサイトのURLなど根拠資料があればなお幸いです
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スーパーホーネット(ライノ)について
詳しい方には言わずもがなですが、本作のトレーニング〜実戦で使用される艦上戦闘攻撃機はF/A-18E/F・スーパーホーネット(「ライノ」とも呼称される)です。
劇中では一貫して(英語音声・吹替音声でも字幕でも)「F-18(エフ・エイティーン/エフじゅうはち)」と呼称されていますが、実際には上記の型式が正式なものです。
この(省略された)「/A」部分にこそ、本機が対空戦闘だけを目的とした純粋な戦闘機(Fighter)ではなく、対地攻撃も可能なマルチロール機である所以が含まれており(Aは攻撃機=AttackerのA)、劇中でも対空戦闘ではなく対地攻撃がメインのミッションに参加するのですが、何度も呼ぶには長いからか、セリフ等では省略されています。
ただし、教官となったマーヴェリックが自己紹介的に訓練の概要を説明する中で登場し、あっという間にゴミ箱行きとなる「F-18戦技マニュアル」(NATOPS、海軍航空隊飛行訓練、標準化マニュアル)の表紙には、よく見ると「F/A-18E/F」の文字が読み取れます。これが劇中唯一、本機の正式な型式が見て取れる箇所かと思います。
そして型式末尾の「E型」と「F型」は、それぞれ「単座機(一人乗り)」・「複座機(二人乗り:前席がパイロット、後席がWSO=兵装システム士官)」の型番です。
劇中設定では、マーヴェリック・ルースター・ハングマン・コヨーテらがF/A-18E(単座型)に、ペイバック&ファンボーイ・フェニックス&ボブらがF/A-18F(複座型)に乗っています。
本作戦時はE型とF型のペアが2組、合計4機で編隊を組み、各ペアではE型がレーザー誘導爆弾の投下を、F型がレーザー誘導を担当するという分担になっています。
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ダガーズについて
物語後半の作戦決行時、スーパーホーネットの編隊は「ダガーズ(daggers)」というコードネームで呼称されます。英語・吹替版ではこのとおり発音されますが、字幕では当該箇所は「全機」と表示され、ダガーズという名称は出てきませんでした。
- ダガー1:F/A-18E(マーヴェリック)
- ダガー2:F/A-18E(ルースター)
- ダガー3:F/A-18F(フェニックス&ボブ)
- ダガー4:F/A-18F(ペイバック&ファンボーイ)
- ダガースペア:F/A-18E(ハングマン)
また、作戦開始の合図として、敵航空基地に向けた巡航ミサイル・トマホークの発射のタイミングでマーヴェリックが「ダガーアタック」とも言ってますね。
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レガシーホーネットもちらっと映る
F/A-18ホーネット自体は1980年から配備され、A/B型・C/D型(それぞれ単座/複座型)が存在しました。これらは現在では(スーパーホーネットに対して)レガシー(=過去の遺産)ホーネットと呼称されるそうです。
本作を鑑賞するまで、「ホーネットって古い機体だよな…?」と思っていた自分ですが、それはこのレガシーホーネットのイメージだったのでした。アメリカ海軍がレガシーホーネットの後継機として全く新たな機体を開発・調達するのではなく、既存機の大幅アップデートという選択をし、改修型であるE/F型が登場した、という事情だそうです。
レガシーホーネットはほぼ退役済み(2019年時点で海兵隊のみが運用中とのこと*1)らしいですが、本作劇中ではマーヴェリックが教官として紹介されるシーンの後ろにレガシーホーネットが数機映り込んでいます(エアインテークの形で見分けることができます)。
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オープニングにはF-35Cが登場する
前作の監督である故トニー・スコット監督へのリスペクトを全面に打ち出したオープニングは、前作同様、トップガンの成り立ちを説明する字幕に続いて、艦載機の空母からの発艦・着艦シーンで始まります。
ここで撮影されている飛行団には、クルーのジャケットに記載の「VFA-125」から察するにアメリカ海軍第125戦闘攻撃飛行隊、通称「Rough Raiders」が含まれます。
(以下、Wikipedia英語版より引用)
Strike Fighter Squadron 125 (VFA-125), also known as the "Rough Raiders", is a United States Navy strike fighter squadron based at Naval Air Station Lemoore, California. The "Rough Raiders" are a Fleet Replacement Squadron flying the F-35C Lightning II.
en.wikipedia.org 上記引用のとおり、VFA-125は本作の撮影の行われたであろう2010年代後半には最新鋭艦載機であるF-35C ライトニングⅡの飛行団となっており、劇中でも発艦準備をするライトニングⅡが映っています。
物語本編でも、目標への攻撃方法をどう考えるかベイツ少将に尋ねられたマーヴェリックが「F-35ステルスなら本来朝飯前ですが…」と、F-35を「作戦に使わない理由」を述べるシーンがありますが、F-35の実機が映るのは全編通じて前述のオープニングの数カットのみのようです。
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オープニングだけ(太平洋艦隊じゃなくて)大西洋艦隊の部隊が映っている
オープニングの一連のシーンで艦載機の垂直尾翼に見られるテイルコードは、「A」始まりのもの(「AG」が確認できます。これはCVW-7、空母「ジョージ・H・W・ブッシュ」の搭載する空母航空団を指すもののようです)と「N」始まりのもの(「NH」が確認できます。これはCVW-11、空母「セオドア・ルーズベルト」の搭載する空母航空団を指すもののようです*2)が混在しています。
「A」始まりのものは大西洋艦隊のCVW(Carrier air wing、空母航空団)所属*3、「N」始まりのものは太平洋艦隊のCNW所属*4だそうです。
物語後半の作戦実施時に見られるテイルコードは全て太平洋艦隊のもののようですので、本作において大西洋艦隊所属機が見られるのはオープニングのうち一部のカットだけ、ということになりますね。
また長くなってしまったので、続きは次の投稿で。