『TOP GUN: MAVERICK』について語る:ニワカが調べた小ネタ集その6(その他編)

トップガン マーヴェリック』に関する連続投稿もこれで最後になります。今回は今までの記事に入らなかった小ネタ集です。

ダークスターについて

実在の飛行機開発会社が協力

本作冒頭でマーヴェリックが試験飛行のため搭乗するダークスターは架空の機体ですが、エンドクレジットでも流れるとおり、実際に米軍機の開発を行なっているロッキード・マーティンスカンクワークスという部門が設定に協力しています。
モックアップの製作やコックピットの各種部品の提供まで、かなり積極的な協力だったようです(どこかでその記事を読んだのですが、出自の記事を忘れてしまいました…ご存知の方いらしたら教えてください)。

www.lockheedmartin.com

劇中では、ダークスターの操縦桿に社名のロゴが、外装(尾翼付近?)にスカンクのロゴ(上記のサイトでも見られますね)が観て取れます。
スカンクワークスが開発したSR-71なんかはだいぶ近いイメージの見た目をしてますね(予告編を観た時点では自分もこの機体が登場するのかと思いました)。
ちなみにマーヴェリックがダークスター搭乗前にランニングしながらバイタルを測る部屋(下記スクリーンショット参照)と、マーヴェリックが使っているガレージ(エンディング)のロッカーの脇のそれぞれに、SR-71の写真(ポスター?)が見られます。

Top Gun: Maverick | MAVERICK (2022 Movie) - Tom Cruise より。
最高速度は?

ダークスターでマッハ9を目指す試験飛行の予定日、プログラムの打ち切りを知らされたマーヴェリック達は、急遽最終目標であったマッハ10を同日中に達成すべく"one last flight"に臨み、それに成功しますが、最終的には同機は空中分解してしまいます。

その直前、速度計(単位が"mach"!)は「10.3」を示していますが、右エンジン脱落後、一瞬「10.4」の数字も観て取れます。
普通に考えればエンジン喪失後に速度が上がることはないのですが、速度計が生きていたぎりぎりの瞬間に爆散の勢いで(?)10.4に到達した、ということなのでしょうか…。

ちなみに前作の主役機であるF-14トムキャットの最高速度はマッハ2.34*1、本作の主役機であるF/A-18E/Fスーパーホーネットの最高速度はマッハ1.8*2だそうです。

そもそもマッハとは?ですが、「国際標準大気を想定した場合のマッハ1は秒速として約340 m/s、時速にして約1,224 km/hに相当する」とのこと。マッハ10ってとんでもないスピードですね…。

ダークスターを操作できる?

ゲームの世界ですが、映画『TGM』とコラボしている作品中でダークスターの操縦を体験することができます。

一つ目は『ACE COMBATY7: SKIES UNKNOWN(以下『ACE7』)』。ダウンロードコンテンツとして配信されている「TOP GUN: Maverick Aircraft Set」に含まれるプレイアブル機体のうちの一つとしてダークスターも使用可能で、映画では設定されていなかった武装も追加されています。詳しくは下記リンク先記事をご参照ください。

asobimotto.bandainamcoent.co.jp

エースコンバットシリーズは未経験だった筆者も、このDLCを購入してPS5でプレイしました。ダークスターに限らず、マーヴェリック教官仕様のF/A-18Eスーパーホーネットに乗れるなど、再現度が高くてテンションがあがりました…!

ACE7のキャンペーンモードのストーリーも、最新の軍用機開発の情勢を踏まえ「飛行機乗りと無人機開発」といった点がフィーチャーされており、『TGM』冒頭とシンクロするものを感じられて良かったです。

ちなみに、このキャンペーンモードの脚本は映画『この世界の片隅に』でも有名な片渕須直氏です。同氏は飛行機(しかも塗料の分野)に造詣が深いことはモデルグラフィックス誌の連載「色のいろいろ」で存じていましたが、エースコンバットシリーズでも監督や脚本を担当されているのですね。

ダークスターを操縦できる二つ目のゲームは『Microsoft Flight Simulator』で、こちらも『TGM』とのコラボコンテンツが配信され、ダークスターも登場し操作可能なようです(他はF/A-18Eスーパーホーネット、やはりマーヴェリック教官機仕様)。

こちらは筆者は未プレイですが、リアルで緻密なフライトシミュレーションが売りのゲームらしく、『航空ファン 2022年8月号』の記事「DIGI SKY -フライトシムの素晴らしき世界-(第172回)」によると、ダークスターも可変式スクラムジェットが再現され、マッハ10まで加速することができ、またその手順も特殊で複雑なものになっているようです。

音楽について

因縁の?Otis Redding

前作でOtis Reddingの"The Dock of The Bay"がマーヴェリックの母との思い出の曲としてフィーチャーされたことは以前の投稿で書きました。

今回もOtis Reddingがかかる場面があります。ルースターがThe Hard Deckに現れるシーンで、彼の車が到着すると同時に「Tramp」が流れます。この曲名、調べてみると「放浪者」とか「プータロー」とか、そんな意味が出てきます。

www.youtube.com

前作に続き、飛行機事故で亡くなったOtis Reddingを起用することで、父を飛行機事故で失ったマーヴェリックとルースターの繋がりを音楽で示唆しているのかも知れません。していないのかも知れません。

「SLOW RIDE」をかけるハングマン

ルースターが登場後、上記の通り「Tramp」が流れていますが、その流れを断ち切るようにハングマンがジュークボックスで「8」「6」(=前作の公開年、1986年を暗示していると思われます)を押して選んだのがイギリスのバンド・Forghatの「Slow Ride」です。

youtu.be

この曲、歌詞では「Slow ride」(ゆっくり乗ろう)を連呼します。ハングマンがルースターの慎重すぎる操縦を知っていてわざとこの曲を流し、ルースターを揶揄している、というわけですね。ルースターにひとしきり絡んだあと、ハングマンは"I love this song!"と強調して会話は終わります。

以上、小ネタ集でした。

トップガン マーヴェリック』関連記事もこれで終わりになります。最後まで読んでくださった方、長文にお付き合いいただきありがとうございました。

*1:映画『トップガン』パンフレットより

*2:世界の名機シリーズ F/A-18E/Fスーパーホーネット」p.22より